おはなばたけライフ

ゲイのままに

桜の花の記憶

 

近所でも桜の花が満開だ。

 

雨にしとしと濡れる姿を見てまた昔の男たちを思い出してしまった。

 

 

 

来年は一緒に桜をみたいな〜

 

 

 

そう伝えると、快く受け入れてくれた男がいた。

その男とは後に付き合うことになったのだが、

今思うと、昔から誰かと将来の約束ばかりしてきた。

 

ゲイの出会いとは儚いもので、

身体だけの関係で満足する人も多い。

 

べつに、それはノンケたちにも多いかもしれないが、LGBTQという限られた枠の中である日突然関係が切れてしまうというのはなかなかにショックだ。

 

生まれて初めて、ゲイの人と出会った時も一度きりで関係が終わった。

 

今となってはもう慣れたことなのだけど。

 

 

 

将来の約束をするということは、その後も関係を続けたいという想いがあったのかもしれない。

 

今度は○○食べに行きたい、○○に旅行に行きたい、なんて夢見た約束。

 

 

桜の花をみて久しぶりにそんなことを思い出した。

 

 

 

 

 

夜の桜は昔の母を思い出す。

 

まだ元気だった頃、妹と3人で近所の夜桜を見に行った。

 

父を亡くして間もない母の気持ちなんてわからず、

もっとちゃんとしてあげればよかったと

今になっても後悔ばかりが胸に突き刺さる。

 

 

親のありがたみを、もっと早く気づけばよかった。

 

 

 

これからは、誰かを守ってあげたい人生。

 

 

明日から4月。春が来るたびに、また少し大きくなれた気がする。

 

2度目の男②

 

久しぶりにウキウキするような出来事だったから、ここに書き残そうと思った次第で。

 

 

LINEを交換してからひと月経った頃、また会う約束をした。

 

 

彼の近所で飲むことになった。

 

前日から慣れない靴で出掛けていたため、足はひどい靴擦れに。痛みを無視しようにもできない苦しさを耐え、彼と会う日になった。

 

 

おすすめの日本酒居酒屋にいった。

 

彼が好きだと言ったあん肝も、気づけば私も食べられるようになった。

もともと苦手だったのに、どうしてあんなにも美味しく感じるようになったのだろう。

 

ウニの小鉢にお刺身の盛り合わせ、ポテトフライとその他もろもろ。いろいろ食べた。

店員さんが飲み放題がお得だと言って、日本酒の飲み放題をつけた。

 

 

そのまま夜は彼の家に泊めてもらい、次の日朝ごはんを一緒に食べて彼は仕事に行った。

 

あっという間の時間は終わり、また会いたいと思う自分がいた。

 

 

付き合う、なんてもう何年もしていないけれど、このまま関係が発展したらいいなと心の隅で思った。

 

 

 

久しぶりのこの感情をどうしても残しておきたかったけれど、最後に会ってから1週間以上。鮮明だったはずの気持ちがどこかにいってしまった。

 

 

こうならないように、こまめに書き留めたいのに

なんだかうまくいかない。

 

 

想いを忘れないうちに書き留める癖をつけよう。

 

 

 

ムーンライトシャドウを観ながら

今は日本酒を飲んでいます。

 

 

やっぱり宮沢氷魚は素敵な俳優だなあ。

2度目の男①

 

とあるアプリで知り合った人は、私と同じジャンルの仕事をしている。お酒を飲むことが好きで、割とすぐに会うこととなった。

 

サバサバしているのであろうか、会う数日前になっても連絡が来ない。忘れているのだろうかと思い、私は別の予定が入りそうだったので今回会うことを延期した。

 

大丈夫ですか?何か都合が悪くなりましたか?

 

優しい文字が返ってくる。

 

直前になっても予定が立たなかったので宿をとっていないこと、翌日仕事が入ってしまったことを正直に伝えて日程を変更してもらった。

事前に私から連絡していればよかったのだろうけど、段取りの悪い人なのかと思っていた。

 

 

改めて会う日程を組み直していただいた。

いざ当日。夕方から会う予定になっていたので

その時間まではSNS繋がりの仲のいいゲイと会う。

パスタを食べて、カレーを食べて、クレープを食べるという女子高生ばりのプランで。

 

夕方になりいよいよ初めましての瞬間。

「○○駅の○改札を出たところにいます。紺色のキャップです」

彼からメッセージが届く。

見渡すとやはり私が住むところよりも人が多い。

どこにいるだろうとキョロキョロしていると

本を片手に慣れた様子で座る1人の人がいた。

 

「○○さんですか?」声をかけるも気づかれない。

「こんにちは!」視野に入れて手を振ると、ちょっと不思議そうに会釈をして本を閉じる。

 

予約をしているというお店まで歩いて5分ほど。

沈黙が続かないようにお互い話をしていた。

仕事の話がメインになっていたが、私のことを「君」

と呼ぶのがなんだか引っ掛かった。

 

 

彼がお勧めしてくれたビアバーに行った。

たくさんの種類のビールにお互いメニュー表と睨めっこしながら、前半はぎこちない話が続いた。後半は少し酔ってきたのだけど、なんだか楽しくなった。わりとフランクな話もできた。

君と呼ぶのはこの人の癖なのだろうか。

 

一件目のお店を出たところでまだ19時ごろだった。

 

私は一旦ホテルにチェックインし、二軒目に行きましょうという流れになった。

 

ニ件目は和風作りの居酒屋さん。

掘り炬燵の席に案内された。お互い酔っていて、上機嫌だった。

「君の好きなものを頼みなよ。」優しい低い声。

ベロベロになり始めていて、何を話したかは覚えていなかったけど、炬燵の下でお互いの足が触れ合っていたことだけは覚えている。

 

 

よければLINEを。

 

アプリ内でメッセージのやり取りをしていたので

次の日ようやくLINEを交換した。

 

 

(続く)

朝の作業

 

仕事が始まってから書類を片付けていた時

ふと昔好きになった男たちについて考えていた。

 

きっと今頃幸せに笑っているんだろうな、とか。あの時どうして自分はあんなに子供じみた行動をとってしまったんだろう、とか。

 

そんなことを考えながら頭の片隅では忘れたいはずなのに、思い出さないように目の前の仕事を片付けようとしても、頭の中で思い出してしまう。

 

 

時々こうやって思い出す。

 

絶対に手の届かない存在になってやろうじゃんか。

 

そうやって、過去の苦い思い出たちが

今の私を作ってくれていて、

でもいまはちょっと自分自身に甘えてしまっている自分がいる。

 

 

 

自分よりも何年も生きてきた男たちだから

子供相手に思ってただろうけど

いくら年上だろうと、絶対に手の届かない存在になってやろうじゃんか。

 

 

 

苦い思い出を思い出している瞬間って

モヤモヤするんだけど、

前に進めって言われている気がする。

 

 

朝のコーヒー

 

最近はめっきりインスタントコーヒーは飲まない。

 

元々はインスタント派だったけど

自分で丁寧にお湯を注ぎ淹れたコーヒーのほうが

何倍も美味しく感じた。

 

私が使うのは以前お客様から頂いたスターバックスのソロフィルター。お湯を入れると細いシャワーのようになって、豆を入れる部分に注がれる仕組みになっている。細かい網なのでペーパーフィルターのようにコーヒーオイルが吸着されることもない。

フレンチプレスほど味わいは損なわれるものの、自家用としては手軽で十分だと思う。

 

 

 

 

 

こんな下書きを書き留めていたものの

昨日ちょうどコーヒーを切らせてしまっていたため

本日はインスタントのペーパードリップ

 

雨の昨日と打って変わって今日は8度も気温があがるそう。

うちのキッチンは西側に位置しているためいつでもひんやりしている。食材を扱う場所だから、日が当たらないくらいの方が条件が良い気がするけど。

 

だから今日は熱いコーヒーがどうしても飲みたくなった。

 

マグカップの茶渋、コーヒー汚れが気になるから

今日は漂白をしよう。

仕事用の靴も洗わないと。ジムのシューズもおまけに。

 

やらなきゃいけないことがあるのに

なんだか身体がついていかない。

 

もう1人自分がいたらいいのにな。

 

 

彼岸入り、バタバタしていて花を買ってない。

お墓参りも行かないと。

 

1日違うだけで花の値段がガクッと上がって

やっぱりなにもかも商売なんだよなぁと思ってしまう。

 

今日という日も今日限り。さて、動きますか。

 

開店準備経過

 

3社に見積もりを出してもらった。

業者が言っている値段より見積もり出された瞬間の値段の方が遥かに高くて、大丈夫かこの人たち、と思ってしまった。

 

二月の家賃は入居時に払ったので、うかれていたら三月の家賃を払っていなくて本日大家さんに遠回しに催促された。

そうか、家賃というものは先に払っておくものか。

東京で一人暮らしをしていた時に、確かに前月に次の月分の家賃を振り込んでいた。

 

ここ数年、委託業務の場所使用代は使用後に払っていたから、なかなかその癖が抜けない。一人暮らしだけど、持ち家なので家賃なんて概念も忘れていた。

 

来月からは引き落としになるからと、また気が緩む。

 

お店の開店イメージは入居後割とすぐにできると思っていたけど、補助金を使えるのであれば使いたい。でも年度が変わるタイミングなのでまだ申請できないというジレンマ。

それでも家賃は発生する。いろいろを急がなくてはいけないのだけど、1人でお店を開店するって誰に頼っていいのかわからない。こんな話は同級生にしてもわかる人は少ない。

できることならとっととオープンさせてどんどん働きたいのに、なにも進まないこの時間が本当に苦痛で、捌け口もないことが余計に自分の首を絞める感じ。

 

辛いよ助けてよ、なんて言える親ももういない。

 

絶対に、負けるわけにはいかない。

今まで嘲笑ってきた人たちも、見捨てていった人たちにも絶対に負けるわけにはいかない。

 

こんなこと、口にもできない、公に宣言もできない。

 

必ず、見返してやろう、涼しい顔で奴らを笑ってやろう。この感情こそが、自分の原動力。

 

この苦痛が、奴らにわかるわけない

 

 

 

今日はそんな感情が心の中で溢れていた。

捌け口の無い日くらい、飲ませてくれと言わんばかりに

夕方からハイボールに手を伸ばした。

映画「エゴイスト」を観て②

 

今回は宮沢氷魚さん演じる中村龍太について。

 

身体の弱い母親と2人で暮らし、高校中退し、母親を支えるためウリのバイトで生計を立てる。駆け出しのパーソナルトレーナーであり、いずれはトレーナー一本で食べていけるようになりたいと夢を話す。

 

浩輔と出会いお互い惹かれていくなかで、仕事で身体を売ることが割り切れなくなり、ウリをしていると打ち明け別れを告げる。

 

唖然と佇む浩輔がようやく龍太を見つけ出し、2人の関係は再構築されていく。浩輔のサポートもあり、ウリを辞め現場仕事と夜間の仕事を始めた龍太。2人の愛は大きいものになっていく途中であったーーー

 

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ウリ専について思うこと。

わたしが昔知り合った人も、ピアノを習うためにお金がなかったからウリをしていたと話していた。

お金欲しさにウリをする子もいたし、夢を追うためにしている人もいた。

映画内では割と若い人相手に、もしくはイケおじを相手にしているシーンがあったが、実際はどうだろうか。

お金を払えば買えるのだから、理想のようにかっこいい人たちだけに身体を売れるわけではない。自分の好みでない人と身体を重ね、キスをし、相手を気持ちよくさせなくてはいけない。

彼らが、どんな思いでそれを仕事にしているのか。

私はウリ線をしたこともなければ買ったこともない。

近年増えてきたリフレッシュ付きゲイマッサージ。客のブツをしごいてやるなんて、ウリ専と同じようなものじゃないか、と心の中でつぶやく。

 

これはウリをしている人に聞いた話だけど、「よく来るお客さんは、ご飯につれていってくれて、セックスなしでも良いって言ってくれる。ホテルでお話しして終わりなんてこともあるよ。」なんて少し儚げな笑顔で話していたのが印象的だった。

 

そういえば、龍太と浩輔が初めて身体を重ねた日。一緒にシャワーを浴びて、龍太が浩輔の背中をタオルで拭くシーン。これはきっと、ウリの仕事柄の流れを含んでいるのではないかと私は想像している。その後浩輔が少し冷たくあしらって脱衣所を出ていく。

"もう一つのバイト"(この時浩輔はまだウリ専していることを知らない)に気づいたのであろうか。

もちろん、背中を拭くという行為は少なからずそこに"浩輔への愛"も含まれていると思うが。

 

ちなみに原作では薄々ウリ専に気付いていく描写がある。

 

 

龍太の仕草について

浩輔と全く違う"ゲイ"を演じているのがわかる。

口調も格好もいわゆるノーマル。ノンケっぽい。

 

高校中退、ウリをしながらトレーナーを目指し勉強し、母親の面倒をみる。おそらくお酒を誰かと飲む習慣なんてないだろう。

浩輔の家で高いお酒を一気飲みするシーンには

龍太の欲望を表していたのではないかと勝手に推測(笑)

 

浩輔が龍太名義で車を買おうと持ちかけるシーン。月に一万円でもいいから、それなら龍太もいいでしょ?と浩輔が投げかける。

 

これはインタビュー記事を読んで知ったことだが、松村大司監督はあのシーンが素晴らしいと言っていた。

母親の通院が、車を使うことによって母親も龍太も楽になるという反面、車を買うにも出費が増える…もっと働かなくてはいけないという地獄のような生活。

感謝の反面、自分の苦しさが増える…胸の底から押し殺すように発する「ありがとう」と、その表情。

インタビュー記事を読んだ後に再度観たエゴイスト、特にそのシーンはグッと堪えるものがあった。役者ってすげえなと改めて感じた。

 

龍太が浩輔に「おれのこと好き?」と問いかけるシーン。

ゲイに限らず男女間でも何気ない日常でこういう愛情の確認ってしたくなるものではないだろうか。

 

映画の中の2人の幸せがいつまでも続けばいいのに、と願うばかりだった。

 

 

「世の中地獄だけじゃなかった。」

 

浩輔のエゴは、龍太にとっての愛だったんだね。