桜の花の記憶
近所でも桜の花が満開だ。
雨にしとしと濡れる姿を見てまた昔の男たちを思い出してしまった。
来年は一緒に桜をみたいな〜
そう伝えると、快く受け入れてくれた男がいた。
その男とは後に付き合うことになったのだが、
今思うと、昔から誰かと将来の約束ばかりしてきた。
ゲイの出会いとは儚いもので、
身体だけの関係で満足する人も多い。
べつに、それはノンケたちにも多いかもしれないが、LGBTQという限られた枠の中である日突然関係が切れてしまうというのはなかなかにショックだ。
生まれて初めて、ゲイの人と出会った時も一度きりで関係が終わった。
今となってはもう慣れたことなのだけど。
将来の約束をするということは、その後も関係を続けたいという想いがあったのかもしれない。
今度は○○食べに行きたい、○○に旅行に行きたい、なんて夢見た約束。
桜の花をみて久しぶりにそんなことを思い出した。
夜の桜は昔の母を思い出す。
まだ元気だった頃、妹と3人で近所の夜桜を見に行った。
父を亡くして間もない母の気持ちなんてわからず、
もっとちゃんとしてあげればよかったと
今になっても後悔ばかりが胸に突き刺さる。
親のありがたみを、もっと早く気づけばよかった。
これからは、誰かを守ってあげたい人生。
明日から4月。春が来るたびに、また少し大きくなれた気がする。